WHAT IS ETHICS PROTOTYPING?
倫理は、
未来を待たずに試作できる。
倫理プロトタイピング(Ethics Prototyping)とは、科学技術・制度・文化が変化した社会をフィクションを通して具体的な物語として描き、その社会で必要となる価値・規範・制度を共同で構想する方法です。
FICTION → CONFLICT → DIALOGUE → ETHICS PROTOTYPE
WHY PROTOTYPE?
なぜ「試作」
なのか
科学技術が驚異的な速度で発展を続けるなか、さまざまな倫理的問題が次々と問われています。しかしその多くは、技術がすでに社会に実装されたあとになって初めて提起されるのが実情であり、倫理的な検討はどうしても後手に回りがちです。倫理プロトタイピングは、私たちがいずれ直面するであろう倫理的問題を、フィクションの力を借りてあらかじめ先取りし検討しておく試みです。次世代の倫理を今のうちから「試作」しておくことで、これから訪れる倫理的問題への備えを社会に提供することを目指します。
WHY FICTION?
フィクションは、
議論のための共通の風景をつくる。
倫理を身近な像にする
これまで倫理学は、社会にとって重要な問いを扱いながら、その成果の多くが学術界の内側にとどまってきました。加えて「倫理学者が倫理を説く」という形は、たとえ論証として整合的でも、押しつけと受け取られたり反発を招いたりしがちです。そこで倫理プロトタイピングは、フィクション作品を通じて倫理を具体的にイメージできるものにし、倫理的な議論を人々にとって身近なものにすることを目指します。
感情も議論の入口にする
フィクションは、議論のなかで提示された規範を、登場人物・制度・出来事・葛藤をもつ具体的なかたちとして描き出し、抽象的な議論と実際の社会とのあいだに橋をかけます。また専門家と市民が同じ場面を想像しながら語り合うための共通の足場となり、市民が倫理的議論に参加していくボトムアップな回路を開きます。さらに、嫌悪や違和感といった感情に対しても、それを力ずくで取り除くのでも屈するのでもなく、その感情が何を捉えているのかを吟味し、想像のなかで向き合い直す場を提供します。
TWO APPROACHES
何を先に置き、何を考えるか。
倫理プロトタイピングには複数の型が想定されます。こうした分類を手がかりに、何を試作でき、どのような問いを扱え、どこまで社会的な議論に接続しうるのかを明らかにしていきます。
INSTITUTION-BASED
制度ベース
ある法制度や社会的ルールがすでに存在すると仮定し、その社会で新たにどのような倫理規範が求められるのかを考える方法です。
NORM-BASED
規範ベース
ある倫理規範がすでに社会に浸透していると仮定し、その規範を支えるためにどのような制度や仕組みが必要になるのかを考える方法です。
QUESTIONS WE CAN PROTOTYPE
「子どもの性別を自由に選べる社会では、どのような倫理が必要になるのか」
「意識をコンピュータに移植し、不老不死が可能になった社会では?」
たとえば「出産時に子どもの性別を自由に選択できるようになった社会ではどのような倫理が必要になるのか」「意識をコンピュータに移植して不老不死が可能になった社会ではどのような倫理が必要になるのか」といった問いを扱い、単に問題点を指摘するだけでなく、その社会で人々の判断や制度を支える具体的な倫理規範を提示することを目指します。
LOOKING BACK AT THE PRESENT
未来を想像することは、
現在の価値観を見つめ直すこと。
倫理プロトタイピングは、一見すると遠い社会や架空の世界の倫理を考える営みに見えるかもしれません。しかしそれらの倫理を構想しているのは、まさに現在を生きる私たち自身です。異なる社会で必要とされる倫理を考えることを通じて、私たちが普段は意識していない倫理的直観が浮かび上がり、「自分たちが本当は何を善いものとみなし、何を悪いものとみなしているのか」が明らかになります。倫理プロトタイピングは、その先に必要となる倫理から現在を照らし返し、今を生きる私たちに実はすでに必要とされている倫理を明らかにする方法でもあります。